アートの広場 Vol.11…………… 「まどのそとのそのまたむこう」 編

 『かいじゅうたちのいるところ』の絵の流れは、段々に余白が減っていく絵の方は、徐々に大きく拡大して全面となり、余白は消えていく…という流れです。時間と共に拡大していく、構築的な流れです。

 これは音楽に共通するものです。『まどのそとのそのまたむこう』は『魔笛』を聴いて、5年の歳月をかけて作られたそうですが、オペラの『魔笛』も途中で善玉と悪玉が入れ替わるにせよ王子が姫を救出する話ですが、『まどのそとのそのまたむこう』も、お話としては「パパは航海に出かけ、ママはお庭のあずまやで元気がなく沈んでいる。アイダは赤ちゃんの妹のお守りをしなければいけない。

 ところがアイダが魔法のホルンを吹いている間に、赤ちゃんはゴブリンたちにさらわれてしまう。妹を連れ戻そうと、アイダは必死になり無事連れ戻すまでの冒険が語られる……。」というものですが、表紙からして暗いというか怖い感じがします。アイダの顔が少女らしくない、可愛らしくない多分7~8歳くらいだろうに大人びている。というわけです。

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 米国では『まよなかのだいどころ』と合わせたセンダック三部作は、子供に本能的な恐怖を感じさせる作品だと指摘されているそうです。

 でも、これには理由があって恐怖という現実に対峙する役割を負っている父に託された想いに応えようとする、アイダにとっての現実があって逞しくならざるを得ない。物語の要所にはホルンが出てきて解決に向かいますがこのホルンこそ父の影の力であり、励ましになっています。ゴブリンをやっつける時の「ふなのりがつきよにおどるいさましいホーンパイプおどり」というのは英国の王国海軍の水兵の伝統的な踊りなんだそうです。こいう訳で勇ましい役柄になっている以上、優しい顔ばかりしていられない訳です。

 「絵本ナビ」では4歳と6歳が支持率が高いですが、レビューの「はじめてこの本に出会ったときは、この本が子供に受け入れられるのだろうかと疑問でした。けれども、実際に娘に読み聞かせてみたところ、食いつくように見ていました。特に長女は、主人公のアイダになって聞いているのでしょうか、何度も何度も「読んで」と持って来ていました。」というのは面白いな、大人の先入観とは違うんだと感心させられました。子供は、守られるだけの子供として生きているのではなくて小さな「人間」として生きているので、それぞれの場所で守るべきものもあるし立ち向かうべき時もある。それが、アイダにとっての現実なので、勇ましい。

 ということで「絵」の話……と思ったらずいぶん書きすぎたので、実際の絵に素描?デッサン的な線を入れてみました……、で終わりにします。

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