アートの広場 Vol.07 『ぐりとぐら』と『ちびくろさんぼ』

先に引用したように、中川李枝子さんは『ぐりとぐら』を
書くきっかけについて、子どもたちが喜ぶ話を探していて
「……その中で最高に喜んだのが『ちびくろさんぼ』だったのね。
……最後にホットケーキを196枚食べるところで、みんなは思わずつばを飲み込む。
そこで私は、ホットケーキの向こうを張って、カステラを作った。……
もっともっと上等でおいしいものをごちそうしようと思って。
なんせカステラは、ホットケーキよりもふんだんに卵を使うんですから……
子どもたちはびっくりするでしょう。」と

ところがこの『ちびくろさんぼ』は黒人差別として絶版にされた事。
その後に他社で復刊されている事。これらについては、考える所は多い…が
いろいろ論及されているので、ここでは概略のみ……。

問題の発端は『ちびくろさんぼ』そのものではなく、「そごう」デパートの
マネキンを見た『ワシントン・ポスト』の極東総支局長一家が驚いて書いた
「黒人の古いステレオタイプが日本で息を吹き返す…」という記事から始まって
というかそれより前に見ていたサンリオキャラクターの「サンボ&ハンナ」のことや
政治家の発言、一家3人の会である「黒人差別をなくす会」の動きなど重なって
1988年7月から始まって、12月には早くも岩波の『ちびくろさんぼ』が絶版される
という経過だ。
個人的には、差別撤廃運動の時流に巻き込まれたと感じている。
カルピスのシンボルマーク、のタカラが用いていたダッコちゃんマーク
手塚治虫をはじめとした漫画等々……自主規制が行き過ぎて、結果的に
作品に黒人そのものを登場させない……というのでは、表現の自由がなくなる。
もちろん差別撤廃運動は重要だ。しかし、これもまた
真理も行き過ぎれば誤謬というか反対物になる……の類に思える。

言いたいのは、絵本としての独自性 歴史通貫的視点、つまり絵のことなので
長くならないように終わります。

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